イコールカードDSの発売を記念して、原作者の五十嵐猛先生と電遊社代表取締役社長の林が、
イコールカードについて対談を行いました。
1). イコールカード制作秘話
2). イコールカードを世界に広げたい
3). イコールカードの素晴らしさ
イコールカード原作者。 イコールカード原作者。こどもデイサービスセンター「なごみ園」センター長。発達障がいの専門家としても第一線で活躍中
イコールカード制作秘話
林
イコールカードDSの開発中は小学館さんを介して、ご意見などを五十嵐先生からいただいていたのですが、本日は、直接お会いしてお話を伺えるということで楽しみにしていました。まずは、簡単に五十嵐先生のプロフィールを教えていただけますか。
五十嵐
大分県でこどもデイサービスセンター「なごみ園」のセンター長をしています。こども達の目線に立つことを大切にしながら、人とのコミュニケーション能力を育てる支援をしたり、こども達が地域で安心して暮らせる社会を実現するための支援ネットワークの構築などを目指した活動に取り組んだりしています。
林
なるほど、こどもへの支援を職業とされているのですね。イコールカードDSの製品をプレイされた感想はいかがでしょうか?
五十嵐
いろいろな人にイコールカードで遊んでもらえるきっかけになれたと思います。
林
そうですね。今回は入門編という位置づけで基本的なルールの実装をポイントにおき開発を進めました。次回作でいろいろルールを追加していきたいと思っています。
五十嵐
ご存知のとおり、イコールカードには沢山のルールがあります。それらのルールも今後、ニンテンドーDS版でも追加されていくならば、とてもありがたいことです。あ、そうそう、これが一番最初の頃のイコールカードです。よかったら差し上げます。
「初期の頃のイコールカード」
林
え!いただけるんですか。貴重な物をありがとうございます。これがイコールカードの原点なんですね。すごい。これはいつ頃どのようなきっかけで考案されたのですか?
五十嵐
実は、最初に考案したのは私が大学生の頃なんですよ。かれこれ15年ほど前になります。
林
なるほど。大学生の頃に考案されたんですね。もともと昔からこのようなゲームの考案をよくされていたのでしょうか。
五十嵐
私は日本大学で社会科教員の課程にいたため、特にゲームの考案とは関係なかったのですが、学生当時、人とふれあうことが好きで、仲間とボードゲームやカードゲームでよく遊んでいたことと、私がもともと算数が好きで得意だったせいか、自然にアイデアが浮かんできました。その後、大学を卒業してから福祉の職に就いて、イコールカードを自費で作成してこども達と遊んだりしていました。初めは、イコール5というドリル形式の遊びだけしかなくて、こどもに問題を解かせたり、数字を覚える時の教材などに使ったりしていたんですよ。
林
最初はイコール5だけだったんですね。
五十嵐
そうです。だけど、今度は大学生のボランティアの方とイコールカードを使って遊んだりし始めていくうちに、その大学の教授までがこのカードを気に入って新しいルールや難しい方程式を教えてくれたりするなど、いろいろな人との出会いの中で、いろいろな遊び方が生まれてきました。ですから、こうしてニンテンドーDSで商品化されることによって、今後もいろいろなルールや遊び方が生まれてくるのではないかと期待しているところです。
林
数をカードにしてというカードゲームはよくあるのですが、裏がイコールというのはこのカードのウリだと思いますが、どういったところから発案されたのですか?
五十嵐
最初は他のカードと同じように表がイコールのカードも作っていました。でも、そうすると、みんなが「イコール待ち」になってしまったので、さて、「どうしようかな」と考えていたところ、とっさに「全部イコールが使えるように裏面に書いちゃえ!」とひらめきました。
イコールカードを世界に広げたい
林
最初の頃はなごみ園のこどもとの交流目的でイコールカードが使われていたんですね。
五十嵐
私がうれしいことは、小学館さんは「学習」じゃないですか、それに電遊社さんの「遊び」の部分が融合して製品化されることです。この「遊び=学習」といった図式は、まさに画期的なことではないでしょうか。
林
やはりゲームというのは教育と対極に位置するものという印象が世間にはあると思うのですが、電遊社の理念として「社会に遊びを提供してゆとりある社会作りに貢献する」という理念があります。イコールカードを見たときにこれこそ我々が望んでいたものだと思ったのが商品化のきっかけです。そして私が今後、実現したいのはイコールカードのオンライン化です。インターネットを介することによって、世界中の子ども達をつなげることができます。数式は万国共通言語なのでお互いの言葉がわからなくても遊ぶことができます。
五十嵐
それは、私の夢である「イコールカード世界大会」にもつながることなので、実現されればありがたいことです。
イコールカードの素晴らしさ
林
私はイコールカードの素晴らしいところは、物事の答えはひとつだけじゃないということを子どもに教えることができるところだと思っています。子どもに対して説明するときに実際にカードを動かしながら説明できることが非常によいと思っています。
「対談を終了しての撮影
五十嵐先生はイコールのポーズで」
五十嵐
そうですね、私も1つ、このイコールカードを通して伝えたいことがあるのですが、最近、算数嫌いなこどもが増えていますよね。だけど、最初に遊びから入ってもらえば好きになれると思うのです。ですから、このイコールカードのように遊びと学びが融合している形は、これからとても重要な社会テーマになっていくだろうと思っています。
林
私は自分の子どもとイコールカードで遊ぶときに悩んでいることがあるんですよ。子どもと同じレベルで付き合うのか、負けたくないので本気で考えて長い式を出すのか。 でも、結局負けたくないので、長い式を出してしまう(笑) そうすると、子どもはそんな長い式を出せるの!と刺激されるんですよ。
五十嵐
子どもが式を作っているときに、後ろから見て、もっとこうすればよいんじゃないの?などと親と子の間でやり取りが発生してコミュニケーションをとるよいきっかけにもなりますしね。
林
イコールカードDSもゲーム機だからといって一人だけでプレイするゲームでなく複数の人と交流しながら遊べるものに仕上がっていると思っています。みんなで遊んで面白い。そういうソフトです。
五十嵐
「イコール」という言葉には「平和」や「平等」といった意味がありますが、それに加えて「つながり」という意味もあると思っています。私は福祉の人間ですが、福祉の世界でもいろいろな機関が連携し合って支援することが大切だと言われてきています。このイコールカードも、いろいろな組織や人が連携してつながり合って発展させていってもらいたいし、そのつながる形が最終的に世界大会にまでなれば、本当にうれしい限りです。そういった意味で、今回の出会いも「イコール」だと思っています。
林
五十嵐先生の夢が実現できるように引き続き協力させてください。海外の子どもをつなげたいですね。本日はお忙しい中、ありがとうございました。